プラチナバンド獲得に向けて攻勢を強める楽天モバイル。
ここにきて経営陣の強い要求が増えてきました。
プラチナバンド獲得は楽天モバイルの悲願でもあります。
「矢沢さんの言っていることがかなり印象が悪い。(プラチナバンドでエリアカバー率を上げて低料金を実現するというだけでは)安い金額で品質の悪いサービスを提供して市場を取りたいというふうにしか聞こえない」
有識者会議構成員からはこんな発言も出る始末です。
「かなり印象が悪い」とはよっぽどの事があったと考えるのが妥当でしょう。
今回は、
の順番で解説します。ぜひ最後までお読みくださいね。
1、プラチナバンド再割り当て問題の現状
楽天モバイルはプラチナバンドを持っていません。
楽天モバイルエリア外はau回線ですが、メインはプラチナバンドなしです。
この図の左側、1.7GHz(ギガヘルツ)帯が楽天モバイルの周波数帯。遮蔽物に弱く、建物の奥などで繋がりにくいのが残念な点。
それに対して、右側のプラチナバンドは建物の中や影でも繋がりやすいのが魅力です。
プラチナバンドでないと、対応エリア内であっても繋がりにくいという現象になりがちです。
見通しのよい場所では繋がるけど、建物の中にはいったら繋がりにくいなんて現象が起こるんです。
ほとんど繋がるけど、たまに繋がらないことがある、なんていう通信回線はメイン回線として信頼できませんよね。
たとえ、「たまに」であっても繋がらない事があるとストレスがあるのが電波。
楽天モバイルをメイン回線として使わず、サブとして使う方が多いのも、この繋がりにくさが原因ではないでしょうか。
こちらがプラチナバンドの現状です。
700MHz(メガヘルツ)帯から900MHz帯がプラチナバンド。
ドコモ、KDD、ソフトバンクで埋まっているのが現状で、楽天モバイルにはプラチナバンドの割り当てがありません。
そのため、楽天モバイルは再割り当てを求めています。
楽天モバイルがプラチナバンドを利用できるようになるには、ドコモ、KDDI、ソフトバンクのプラチナバンドを再割り当てしてもらう必要があるんです。
つまり、この三社から分けてもらうという事ですね。
その後、楽天モバイルがプラチナバンド獲得が濃厚になりました。
その後の展開は以下の記事を参考にしてください。
なお当記事では以下で楽天モバイルと政治家との関係を深堀しているのでぜひ最後までお読みください。
2、楽天モバイルは「政治の力」で突破か?
先の国会で周波数の再割り当てが可能になる「電波法および放送法の一部を改正する法律」が成立しました。
2022年10月1日、来月のはじめに施行されます。
この法律、まさに楽天モバイルのための法律と言えそうです。
この法律で楽天モバイルが三大キャリアからプラチナバンドを分けてもらえる素地ができました。
こういった法律が成立した背景には、三木谷社長と政治家との強い繋がりがあるのかも知れません。
三木谷浩史氏は有力政治家とのつながりを強めている。実際、楽天グループが2022年4月14日に実施した創業25周年記念レセプションでは、岸田文雄内閣総理大臣ら現役の閣僚などが登壇、有力政治家との深いつながりを示していた。
プラチナバンド獲得で苦労したのは楽天モバイルだけではありません。
ソフトバンクは総務省に働きかけ続けた末にプラチナバンドを獲得しました。
楽天モバイルの場合はどちらかというと政治家へのロビイングという方法が中心のようです。
しかし、政治家との繋がりというのは諸刃の剣と思うのはさとうだけでしょうか。
政治家がスキャンダルなどで倒れたら、今までの政策が維持される保証はないからです。
三木谷浩史社長と政治家との繋がりで興味深い記述があります。
今年4月14日に行われた「楽天グループ創立25周年レセプション」についての記事です。
さらに安倍晋三元総理や菅義偉前総理からのビデオメッセージも紹介された。
楽天グループが、第4のキャリアとして参入したのは三木谷会長と菅前総理の深い関係があったからだと言われている。通信料金の値下げを実現しようとしていた菅前総理がお膳立てをして、楽天グループに周波数が割り当てられたとされている
三木谷さんと菅前総理との関係の深さがこの記事では指摘されています。
そもそも、菅前総理との繋がりがあって楽天モバイルがはじまったという見方ですね。
プラチナバンドの再割り当てが可能になる「電波法および放送法の一部を改正する法律」の成立にはこういった政治家との強いパイプが背景にあると考えてもいいかもです。
もちろん政治との繋がりはただちに悪い事ではありませんし、経営者として当然のこととも言えますけどね。
3、楽天は強気の姿勢で3大キャリアと対立
楽天モバイルへのプラチナバンド再割り当て。楽天モバイルの主張はザックリとこうです。
- 1年以内の再割り当て
- 三社に移行費用を要求
これに対して、三大キャリアは移行にかかる期間をおおむね10年と主張。
さらに膨大な費用もかかります。
楽天モバイル側はこの費用も三大キャリアに負担して欲しいと主張しています。
ちょっとこれは都合が良すぎると思うのは私だけでしょうか。
1年という移行期間は短すぎますし、三大キャリアが負担した費用は結局、ユーザーが負担することになります。
しかし、楽天モバイルはあくまで強気。
これほど強気の姿勢の背景には「政治の力」の存在があるのかも知れません。
さらに、プラチナバンド導入を焦る理由はもう一つあります。
モバイル事業の赤字と、株価の低迷です。
2022年8月10日に発表された決算では、モバイル事業の営業赤字が2593億円。
このモバイル事業の赤字が重く、グループ全体でも赤字という結果です。
楽天モバイル側としては、プラチナバンドをはやく獲得して三大キャリアと並びたいところなのでしょう。
それに合わせたかのように、auのオンライン専用ブランド、povoは新規加入ユーザー対象で7日間使い放題キャンペーン(現在は終了)をはじめました。
このキャンペーン、楽天モバイルが得意とする大容量ユーザーを奪おうとしているようにも見えます。
povoは基本料ゼロ円ということで、楽天モバイル解約組の受け皿になってきました。
このキャンペーンで低容量のユーザーだけでなく、沢山使うユーザーも楽天から奪う構えなのかも知れません。
さらにドコモのオンライン専用ブランド、ahamoは、大盛りオプションの実質無料キャンペーン(当時)を始めました。
大盛りオプションというのは、100ギガという大容量が使えるようになるオプション。
この大盛りはテザリングで利用すれば自宅の回線をまかなう事も可能です。
こちらも楽天モバイルが得意な大容量利用するユーザーを奪うものと言えます。
au、ahamo両社のオンライン専用ブランドが大容量ユーザーをターゲットにしているのは偶然ではないと思います。
povoやahamoはキャンペーン攻勢で楽天モバイルにダメージを与えようとしているのかも知れませんね。
携帯各社のプラチナバンドをめぐる争いは激しさを増しています。
当サイトでは今後もこの問題を引き続きウォッチしていきます。