2023年6月1日、ついに楽天モバイルの「最強プラン」が開始されまいた。
先月から注目度の高いこのプラン。
楽天モバイルだけでなく、携帯電話業界の今後を左右するとも言えそうです。
楽天モバイルは携帯業界の値下げトレンドの中心的な存在と言えます。
今回はついにはじまった楽天モバイルの「最強プラン」を特集します。
楽天最強プラン導入直前の2つの重要な発表!
先月の末は業界を左右する大きな発表が2つありました。
UQモバイルの実質値上の衝撃!
ひとつは、KDDI運営のUQモバイルの実質値上げ。
ぱっと見て分かるとおり、プラン内容は複雑になったのが分かると思います。
それもそのはずで、コミコミプランを除いては、セット割や家族割などがふんだんに導入されました。
具体的には光回線の自宅セット割、家族セット割、さらにau PAYカードお支払い割の3つです。
まるでauみたいになったという評判も多く、全般的に不評です。
またUQモバイルの最大の特徴であった節約モードが一部無くなった事も残念すぎました。
コミコミプランは20GB使えて10分かけ放題付きで、月額3278円。
ahamoに対抗したこのプランは評価が高いですが、他は実質値上とも言えるプラン内容です。
このままUQモバイルはauのプランの一部になる可能性も出て来ました。
OCNモバイルONE運営会社をドコモが吸収合併
そして、OCNモバイルONE。
こちらは、運営会社のNTTレゾナントをドコモが吸収合併。
もともとOCNモバイルONEを運営しているNTTレゾナントはドコモの子会社でしたが、7月1日づけでこれを合併する事になります。
ドコモがOCNモバイルONEを直接提供する事になるとすると、ドコモのサブブランドになるのでしょうか?
MNOが提供するMVNOサービスというやや変則的な位置付けです。
そう遠くない将来、OCNモバイルONEもドコモの料金体系に組み込まれてしまうという可能性も全くないとは言い切れません。
こういったキャリアの実質的なサブブランドをめぐる動きに何か不穏なものを感じるのは気のせいでしょうか。
格安料金を提供する実質的サブブランドを整理しているようにも見えます。
あとは、ソフトバンクのサブブランド、ワイモバイルの動きに注目という事になります。
楽天モバイルは今後の携帯業界の動きを左右
今後の携帯電話業界の動きを左右するのはどう見ても楽天モバイル。
楽天モバイル 対三大キャリアといった構図がみえてきそうです。
楽天の携帯事業への参入に関するおもしろい指摘があります。
楽天グループが、第4のキャリアとして参入したのは三木谷会長と菅前総理の深い関係があったからだと言われている。通信料金の値下げを実現しようとしていた菅前総理がお膳立てをして、楽天グループに周波数が割り当てられたとされている。
政治主導の波にのって携帯キャリアを展開してきた楽天モバイル。
それを迎え撃つ三大キャリア。
しかし、政治主導であったからこそ、政治の力が弱まればすぐに元に戻るものだったのかも知れません。
UQモバイルの実質値上などをみると、三大キャリア側は隙があれば値上げしてきそうです。
せっかく安くなってきた携帯料金を維持するためにも楽天モバイルには踏ん張って欲しい局面と言えます。
そんな楽天モバイルが2023年6月1日からスタートさせた楽天最強プラン。
名前もすごいですが、社運を賭けた、と言っても良いでしょう。
ホームページのこの力の入り方です。
データ通信はパートナー回線エリアも含めて、全国どこでも無制限。
先月まではパートナー回線は5GBが上限でしたが、それが撤廃され、どこでも無制限で利用できます。
そして価格は、ご存知のとおり、従量課金制で最大に使っても3278円。
まさに価格破壊ですよね。これがなければahamo、povo、LINEMOなどはなかったかも知れません。
無制限で利用できますから、テザリングなどにも最適です。
また楽天モバイルの通信速度は光回線に及びませんが、無制限で利用できるので自宅の回線としても優秀と言えます。
そして通話が最強。これは楽天リンクでの通話です。
楽天モバイルで楽天リンクというアプリを使うと、いくらかけても通話料金がかかりません。
無料で通話かけ放題なのも楽天モバイルの大きな特徴の一つです。
ここ最近は、この楽天リンクへの訴求は控えめでした。
その理由としては、楽天リンクの通話品質の問題があげられます。
楽天リンクの通話品質は、スマホにあらかじめついているスマホアプリと比べると低いと言わざるを得ません。
確かにかけ放題ではありますが、通話品質が通常の通話にやや劣るため、例えば仕事の電話などには不向きと言えます。
そういった理由から、最近は楽天リンクの「かけ放題」を前面に出すことをやめていたと推察できます。
また、通常の通話のオプション(15分通話かけ放題で1100円/月)に加入してもらう事でARPU(1契約数あたり収入)を上げたいという思惑もあったのかも知れません。
参考楽天モバイルの15分かけ放題は必要?無料のRakuten Linkと違う点
しかし、もうなりふり構っている状態ではない、という感じでしょうか。
楽天リンクを前面にだすことで「国内通話無料」をアピールしています。
楽天最強プランを発表したとき、とくに強調していたのが、つながりやすさの向上です。
人口カバー率は98.4%から99.9%へ向上。この99.9%というのはKDDI回線のローミングも含めたものです。
つまりKDDIから借りた通信回線を積極活用することで人口カバー率99.9%を実現したのです。
さらに楽天モバイルのエリアマップの表示もこれを受けてシンプルになりました。
以前は、楽天モバイル回線エリアとパートナー回線エリア(KDDIから借りているエリア)で色分けしていたのですが、現在はすべて濃いピンク色、一色に統一されています。
パートナー回線と楽天モバイルエリア、どちらでも無制限なので色分けする必要性がなくなったのです。
では最強プランが始まった6月1日から、実際に繋がりやすくなったかというと、そうでもないようです。
「最強プラン」というタグでツイッター検索すると、以前と変わっていないという口コミが大半をしめています。
こういう口コミは悪い評判が目立ちやすいというのはありますが、それを差し引いても評判は芳しいとは言えません。
さらに、実は繁華街などの繋がりやすさの改善はまだ先になりそうなんです。
東名阪(とうめいはん)の新ローミングは、6月1日からいきなり全てをカバーするわけではないこと。楽天モバイルによると、東名阪の新ローミングエリアは、6月1日から順次追加していくという。
一度に繋がりやすくなると思っていたのですが、違うようです。
繁華街や高層ビルなどの繋がりやすさが改善するのには、これから更に時間がかかるようで残念です。
楽天モバイルは現在が正念場!
いずれにせよ、楽天モバイルは現在が正念場と言えます。
楽天グループが5月12日に発表した決算では、最終損益が825億円。
他の事業は好調でも楽天モバイルの赤字が重いという状況が続いています。
直近の決算では、約20兆円の総資産に対して自己資本はわずか8700億円と4%程度にまで減少しており、財務的には危険水域に近づきつつある。楽天銀行の上場と公募増資(こうぼぞうし)で得た約4000億円はいわば最後の軍資金であり、これで携帯事業黒字化のメドが立たなかった場合、同社の選択肢は限られてくる。
財務的には楽天モバイル、かなりヤバい状況なんです。
この記事タイトルにある「決断の日」というのは、要するに楽天モバイルをあきらめる日という事です。
いわば、ギリギリのところで頑張っているという状態と言えるのです。
楽天モバイルは、先月に引き続き楽天ハンドの1円のキャンペーンをやっています。
さらにモバイルWiFiルーターも1円。
こういった思い切った施策は最後の勝負をかけている感じがあります。
楽天モバイルがなくなると三大キャリアが値上げに踏み切る可能性が高いのではないでしょうか。
苦しい状況でしょうけど、楽天モバイルの頑張りに期待したいところです。
【楽天最強プラン】まとめ
今回は、ついにはじまった楽天モバイルの最強プランについて解説しました。
何か、なりふりをかまっていない感じがちょっと不安です。
パートナー回線を貸しているKDDI関係者の声を紹介します。
新プランを巡っては、KDDI関係者から「誇張しすぎではないか」との指摘が出ている。
確かに、通話アプリ、楽天リンクを前面にだすのも久しぶり。
いろいろとギリギリの表現をしている感じはあります。
楽天モバイルはプラチナバンドをそう遠くない将来に獲得する見込みだと言われています。
そこまでなんとか頑張って欲しいですね。