ポケット型WiFiとパソコンをつなぐ2つの方法
外出先でポケット型WiFiとノートパソコンの接続には2通りの方法があります。
ひとつはポケット型WiFiとノートパソコンをWiFiで接続する方法、もう一つはUSBケーブルで接続する方法です。
この2つの接続方法にはデータ通信速度やセキュリティ面などにそれぞれ特徴があります。
またノートパソコン側の設定も異なるため、多くのユーザーは接続がより簡単なWiFi接続を選択していることでしょう。
とはいえ、WiFi接続とUSB接続にはどれだけの違いがあるかを明確に理解している方はそれほど多くないと思います。
そこで今回はWiFi接続とUSB接続の違いを、主にデータ通信速度面から検証してみようと思います。
ポケット型WiFiのスペック上はUSBの方が速い
あくまでも理論値ですが、ポケット型WiFiの仕様上WiFi接続よりもUSB接続の方が高速データ通信が可能という事実があります。
最近発売されたY!mobileのPocket WiFi 801HWのスペックをご覧ください。
カタログには「無線LAN接続時は下り最大588Mbps」であること、また「USBケーブル接続により、下り最大972Mbpsに対応」することが明記されています。
Y!mobileのPocket WiFi 801HWは下り最大972Mbpsであることをセールスポイントに謳っていますが、理論上このスペックを最大限に生かすためにはUSB接続でなければダメです。
つまり、WiFi接続では最大スペックを発揮できない、USB接続の方がWiFiよりも速いということなのです。
更に、通信の安定性もWiFi接続よりUSBの方が高いです。USBで接続できる機器なら、可能な限りUSB接続した方がベター。
ただし、有線回線を接続するという、ひと手間が少し面倒です。
接続時はUSBの仕様に注意すべき!
ただし、注意すべき点があります。
USB接続であればなんでも良いというわけではありません。
実は現在使われているUSBの規格は大きく3種類あります。
それぞれUSB2.0、USB3.0、USB3.1という規格ですが、このうちUSB2.0は最大転送速度が480Mbpsであるため、(理論値上では)WiFi接続よりも遅くなってしまいます。
USB規格の話は説明すると長くなるのでまた別の機会に行うとして、USB2.0では逆に遅くなる可能性があるということを理解してください。
輪をかけてややこしいのが、ポケット型WiFi購入時に付属品として(あるいはオプションとして)ついてくるUSBケーブルはほぼUSB2.0です。
最大のパフォーマンスを発揮するならUSB接続であることをアピールしておきながら、付属品はその条件を満たしていません。
【実証】WiFi接続とUSBではどのくらい速度が違うのか?
では、実際にポケット型WiFiとノートパソコンをWiFiとUSBで接続して、どのくらい速度が異なるのか実証してみましょう。
実証に使用した環境は以下の通りです。
【測定環境】
モバイルルーター:Speed Wi-Fi NEXT W05をハイスピードプラスエリアモードに設定
ノートパソコン:DELL Vostro13 USB3.0ポートあり
接続方法:WiFiは2.4Ghz USBは2.0と3.0を交互に使用
測定方法:測定に用いたのはFast.com
https://fast.com/ja/
3通りの接続方法を各ポイントで2回づつ(計6回)測定し最も速度の速かった回を掲載
では、実際に首都圏で測定してみた結果を見てみましょう。
◇大手町(ビジネスタイム)
測定スポットは本間ゴルフ前の路上です。周囲に高層ビルはありますが、道路が広くしかも東京のど真ん中であるため通信インフラ(=アンテナ数)もかなり充実しているエリアです。
【WiFi】
【USB2.0】
【USB3.0】
やはりUSB3.0が最速です。USB2.0やWiFi接続との差がはっきりしています。
逆にUSB2.0だとWiFiより遅くなってしまいます。
電波環境はいいのですがその分ポケット型WiFi利用者も多いためこのくらいの速度となっているでしょう。
◇錦糸町(ランチタイム)
測定スポットは駅に隣接しているスターバックスコーヒーです。
駅前をはじめ周囲が開けているため電波のつかまりは比較的よさそうです。
【WiFi】
【USB2.0】
【USB3.0】
ここではWiFiよりも圧倒的にUSB接続の方が速いという結果になりました。USB2.0でもWiFiの3倍近い速度です。
ここでもUSB2.0より3.0の方が速く、USB3.0は100Mbps超えとなりました。
USBの仕様によってもかなりの差が生れます。
東京駅と比べて圧倒的に人が少ない(=モバイルルーター利用者が少ない)からでしょうか。
◇横浜駅(ビジネスタイム)
測定スポットはモアーズ2Fのスターバックスコーヒーです。
高い建物に囲まれている場所のため、モバイルルーターの電波は届きにくいと思われる場所になります。
【WiFi】
【USB2.0】
【USB3.0】
あまり電波の入りが良くないせいか、全体的にデータ通信速度は遅めです。
ここでもWiFiよりUSB接続の方が速いという結果です。
USB2.0とUSB3.0の差はほとんど無く、違いを実感するには至りませんでした。
◇新宿歌舞伎町(高層ホテル:夜)
測定スポットは歌舞伎町にある高層ホテル25Fの部屋です。
高い場所が苦手なWiMAXモバイルルーターであるため、電波の入りはかなり悪いと思われます。
ハイスピードプラスエリアモードのためLTE頼みというところでしょうか。
【WiFi】
【USB2.0】
【USB3.0】
全体的に速度が遅く、WiFiとUSB接続との差はわずかです。
それでもUSB3.0が最も速いという結果になりました。
横浜の測定でもそうですが、電波の入りが悪い場所の場合はポケット型WiFiとノートパソコンの接続環境はあまり関係ないといったところでしょうか。
【結論】同じ環境ならUSB3.0接続が一番早い!
首都圏4か所でそれぞれの接続方法について実証してみましたが、総じてUSB3.0が最も優秀であるという結果になりました。
また、USB2.0でもWiFiより少し速くなるようです。
ポケット型WiFiのデータ通信速度はその時々の環境によって左右されるためすべてに当てはまるわけではありませんが、より速い速度を求めるならUSB3.0(3.1)の環境を整えた方が良いでしょう。
まとめ
ポケット型WiFiとノートパソコンを接続する方法はいくつかありますが、データ通信速度を考えるとUSB3.0以上の規格を用いることが最も良いという結果になります。
ただし、ポケット型WiFiに付属してくるUSBケーブルは2.0仕様の場合もあります。
その際は、別途USB3.0(3.1)ケーブルを購入する必要があります。
また、ノートパソコン側もUSB3.0以上に対応しているポートをインターフェイスとして装備していなければなりません。
ポケット型WiFiの速度が遅いなと感じた場合、USB接続を試してみるのも有効な手段となるでしょう。